vol.25

自分史

S・みさ子さん「水彩画を追求すること22年の継続力」

子育てしながらも、水彩画への探究心は衰えることなく、学びを重ね続けた人生。チャレンジ精神は多様なジャンルへも向かいました。

絵画はどのように学ばれたのですか?

Sさん振り返れば高校では美術部に在籍し、美術大学へ進学。友人たちの影響もありました。美術部顧問から美大受験対策で彫刻家を紹介され、1年間で50回ほど通い、そこではじめてデッサンを学びました。当時は日本画か油絵かの二択で、水彩画がジャンルとして確立していませんでした。

なかでも水彩画に魅了されたきっかけは?

Sさん年上の研究職の方とお付き合いをしていまして、卒業まであと2か月というタイミングで結婚、同年に赴任地へ帯同となりました。第一子出産後には米国が赴任地となり、母子で追いかけて渡航。米国ではいろいろな体験をしました。

美大卒業後は専門的な仕事に?

Sさんただ、本当に好きというだけで。油絵も下絵は水彩画ですし、美術家には特別なものではないと思います。

美術だけではなく語学力も?

Sさんそれが全然で。でも自動車運転免許証を取ったんですよ。買物は身ぶり手ぶりでなんとかなりましたし、試験では辞書の持ち込みが許されていました。帰国後も仕事の都合であちこち移り住みました。専業主婦に収まれず、洋裁を習ったり、そのご縁から高校の美術講師を短期で受けたり、子育て中に水彩画教室にも通いました。

資格試験合格の取材を受けたとのこと。

Sさん息子たちが社会人になり、私は50歳目前。非常勤で就いた仕事に慣れた頃、社会とつながれる仕事で主婦経験も活かせるとインテリアコーディネーターの道をめざしました。何十年ぶりかの受験で大変緊張しました。53歳は当時最高齢で、合格体験記に登場することになりました。

住まい探しにも資格を活かせましたね。

Sさん間取り図を眺めるのは楽しいです。間取りと同様に住環境も重要で、多くの資料に目を通しこの住まいを自分で選びました。入居から約3年半。選択条件だった食事サービスは昼・夕利用しています。そのレストランを会場に、1年間で25点の水彩画作品を展示してくださいました。水彩画のサークルもあり趣味仲間も得られ、めざしていた〝納得のできる人生〟を満喫中です。

洋裁

母親が愛用されていたという着物の帯をバッグにリメイク。

水彩画

写生中の一枚。現地で8割ほど完成させるそう。
水彩画・作品名『初夏の果物』。作品名は、描き上げてからつけるというSさん。時を経て、その時の感性で作品名を変えることも。アートとはいつも未完成。手直しを加えるごとに作品の完成度を上げていくものだそう。
水彩画・作品名『盆地に建つ聖アドラン教会』(ベルギー・セル村)。静物画、風景画のほかに人物画も描かれます。