vol.16

自分史

服部惠美子さん「人生、楽しまないともったいない!」

山を愛し、俳句、陶芸、語学では中国語も学ばれたという服部さん。長編小説をご主人と味わい、古寺など歴史的旧跡巡りも堪能された多趣味な人生を伺いました。

服部さんはまるで太陽のようで、その場が明るくなりますね。

服部さんこれを言うと驚かれるのですが、前は内向的な性格でした。主人の転勤であちこち移り住むうちに、前向きに考えられるようになったのかもしれません。

どちらにお住まいになられたのですか?

服部さん結婚してすぐ東京から大阪へ。文化うんぬんよりも、まず言葉が分からなかった! それでも徐々になじみ、文化講座に通ったり、面白そうなパートをしたり、大阪での暮らしを堪能しました。それから米国のシカゴに丸一年。また言葉が通じない場所でしたが、仲良くなった現地の方から英語を習い、異文化交流の日々を楽しく過ごしました。帰国後は広島、鳥取、最後は千葉に落ち着きました。

ご主人との二人三脚。多忙の日々だったのでは。

服部さん大学の研究員だった主人が国際学会に参加するとなれば帯同し、同僚や留学生がホームシックになったと知るや主人はあちこちに声を掛け大勢集め、我が家でパーティーを開くということもありました。同僚の奥様方、留学生のおもてなしも、異なる文化や料理など色々と学ぶ機会となり、私自身も楽しみましたよ。

ご縁ある海外をよく旅されたのでしょうか?

服部さん二度と海外旅行などできないだろうと、赴任地のシカゴからの帰路に欧州各国とエジプトに寄りました。69歳で主人が引退してから、当時回れなかった北欧、英国を巡るツアーに参加しました。主人さえいれば退屈しないと心底思っていて、旅先でも二人きりで行動するのが常でしたが、この時は素敵な出会いが待っていました。主人が2冊にまとめた道中記を仲良くなった方々へも送り、私の手元にも大切に残しています。

仲睦まじいご夫婦と伺っていました。

服部さん私たちには子どもがいないので、老後は介護付きの住宅でと早いうちからセミナーなどに参加し、勉強していました。タイミング良く、こちらを見つけて夫婦で入居したのですが、残念ながら3年前に主人は他界。24歳の時にお見合いで結婚し、約60年間を伴侶として共に歩んできました。振り返れば、主人に守られた人生だったから、こうして明るく生きて来られたのだろうと、そう思っています。

今はどのようにお過ごしでしょう。

服部さんしばらくふさぎ込んでいましたが、周りの方々が気に掛けてくださって。これまで顔を出していなかった行事や朝のラジオ体操に参加するように。夫婦共通の趣味の読書をご縁に、まちライブラリーのお手伝いも一年になりました。

1998年6月28日〜7月10日の思い出をまとめた紀行文。ご主人の軽妙な文章が光る作品です。
ノルウェーのフィヨルドを背景に。道中記で「フラウ」と呼ばれる服部さん。ドイツ語で「妻」の意味。
意気投合した仲間と英国スコットランドでの一夜。一番左が服部さん、ご主人は右から2番目。
毎月第3木曜日の午前中、寄贈本の整理を4〜5人で。本にまつわる会話で毎回盛り上がります。