vol.4

自分史

藤岡惠實子さん「海外の旅との繋がり」

これまで暮らした場所=東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡、大分、宮崎、満州。父親とご主人の転勤のおかげで、行動が軽快になったという藤岡さんに、旅の魅力を伺いました。

小学校1年から2年半もの間、満州にもお住まいだったのですね。

藤岡さん東京の高等女学校に入学するまでは、度々転勤で引っ越し、私と弟は転校が当たり前の生活でした。附属校から進んだ女子大学を卒業し、図書館に勤め始めた頃は、そんな生活も終わるかと思っていたのですが。

引っ越すことに?

藤岡さん縁あって結ばれた夫の勤務地が、大阪だったのです。当時、東京から他地へ嫁ぐのは嫌がられたものですが、あまり抵抗はありませんでした。大阪で2人の息子に恵まれ、ニュータウンで子育てをし、司書資格を活かしてこども図書室でボランティア活動と落ち着いた毎日でした。息子2人が東京の高校と中学に進学するまでは。

また引っ越しを?

藤岡さん引っ越しと言いますか、大阪と東京に月の半分ずつ住むことにしたのです。そうこうしているうちに母校の先輩から「図書館友の会」を紹介され、東京でのボランティア活動も始まりました。「図書館友の会」は、卒業生で大学図書館を支える小さな団体で、教養を高め合う場でもありました。その中で、同窓の旅慣れた方々が作る海外旅行の計画を知りました。海外出張の多い夫は以前から「海外は、感受性の高い若いうちからがいいよ」と言っており、大学に在籍中の息子たちの後押しもあって参加し始めたわけです。

渡航先はどちらだったのですか?

藤岡さん初回は英国周遊とパリ、ヘルシンキでした。この会は年一度催行、10回続いたのですが、ヨーロッパが中心で、駆け足で多くの場所を巡るものでした。旅は適度の緊張感を伴う非日常の連続で、人を魅了するものに満ちています。そこにしかない自然環境、異文化との出合いで視野は広がります。そこが旅の良さで、小さな街でもそこで暮らす人々の姿や生活をうかがい知るには泊数が必要。高齢化につれて、一箇所にゆっくり滞在するツアーの旅に変化してきました。

ご主人とも海外旅行をされたのですか?

藤岡さん夫が70歳で退職する前後にやっと行けるようになりました。私のお薦めの場所を二人で、時には私の友人も加わり三人で訪れました。夫が趣味の絵を描いている間、女性二人で美術館巡りやカフェでの語らいは楽しかったですね。しかし、終の住処と決めた逗子へ越して2年足らずで脳梗塞発症、3年間の自宅介護生活を挟み他界しました。1年後、夫が次回望んでいたスペインへ友人に誘われ、海外行きを再開しました。

最近はどちらへ?

藤岡さん1月に親類訪問を兼ねて2度目のシンガポールへ。新発見多々でした。年々、海外旅行は体力勝負だと感じており、ラジオ体操やフィットネスクラブでのアクアダンスで体調維持に努めています。自己判断が可能なうちにと78歳で選択した今の生活も5年余。通常のマンション暮らしと変わらず、旅にも気軽に出向けます。見守りサービスもあり、安心・快適で、日々感謝の念を持って過ごしています。

藤岡さんの「旅アルバム」