vol.8

イベントリポート

提携医療機関の理事長による、 認知症の理解を深めるセミナーが 開催されました!

1月29日(月)、3Fラウンジにて、医療法人篠原湘南クリニック理事長の篠原裕希医師によるセミナーが開かれました。タイトルは「もし自分や家族が認知症になったら」。篠原医師のご協力を得て、「オリーブ便り」でも詳しくご紹介します。

参加者はご入居者様15人、看護師1人。約1時間のセミナーでは、皆様、スライドと篠原医師の話に集中されていました。

社会構造の変化

厚生労働省等の高齢者人口に関する資料によると、2050年には65歳以上の高齢者1人に対して現役世代1.2人で支える肩車型社会が訪れると予想されています。今後、社会福祉の財源を確保できたとしても、最大の問題は人手不足です。病院や施設だけで、医療・介護を担うには限界があります。今、国が進めているのが「病院完結型」医療から、「地域完結型」の在宅医療への転換です。住み慣れた自宅や地域へ戻り、自分らしい暮らしの継続をめざすものです。実現のため医療と介護が連携し、在宅での終末期への対応、認知症への対応が求められています。

在宅医療とは

一人で通院が困難な患者の元に医師が定期的に訪問し、計画的に治療・看護・健康管理等を行うものです。緊急時には必要に応じて臨時往診や入院先の手配なども行います。自宅にいながら、人工呼吸器・酸素吸入・経管栄養・中心静脈栄養・点滴・がんの緩和医療なども受けられます。

終末期と看取り

終末期とは、死を迎える間際の時期のこと。がんであれば余命6カ月以内。認知症や老衰であれば身体機能が著しく低下したとき。心臓病や呼吸器病では、悪化と改善を繰り返しつつ最期のときは突然訪れることも。終末期の療養の場、受けたい医療、痛みを取る緩和治療、食事を口から摂れなくなったときはどうするかなど、具体的なことを元気なうちから家族で考えていきたいものです。

認知症高齢者の現状

認知症とは、色々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために様々な障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態(およそ6カ月以上継続)をいいます。厚生労働省の推計では、2012年の数字として、65歳以上の認知症有病者数が約462万人、認知症の前段階といわれる軽度認知障害者数が約400万人。合わせると65歳以上の人口の約3割を占めます。85歳以上では約半数が認知症にかかっているともいわれ、高齢化に伴う大きな社会問題となっています。

認知症を治すことはできませんが、軽度認知障害の状態から正常に戻ったという調査結果を国立長寿医療研究センターがまとめています。認知症ではない65歳以上の住民4200人を2011年から4年間追跡した調査で、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻ったというものです。認知機能を維持・改善できる可能性が、この調査によって示されました。

認知症予防

最近まで認知症は予防できないと考えられていましたが、第一次予防で発症予防、第二次予防で早期発見・早期治療、第三次予防で認知症の進展予防が可能だと分かってきました。認知症の種類で最も多いアルツハイマー型認知症の第一次予防では、認知症を促進する因子を減らし、抑制する因子を増やすことが有効です。

促進因子には、
①悪い生活習慣(喫煙・過度の飲酒・運動不足)、
②生活習慣病のコントロール不足(高血圧・糖尿病・脂質異常症)、
③頭部外傷、
④睡眠障害が挙げられます。

抑制因子には、
①生涯学習、
②良好な生活習慣、
③生活習慣病の良好なコントロール、
④適度な飲酒(赤ワインで2杯程度)、
⑤適量の食事、
⑥運動、
⑦知的活動(麻雀、囲碁、将棋、トランプなど)、
⑧コミュニケーション、
⑨歌が挙げられ、
特に⑥〜⑧は発症前に効果的です。

体を動かすことは、認知症だけではなく生活習慣病の予防にも役立ちます。厚生労働省が策定した「プラス・テン」は、今より10分体を多く動かすことを推奨する健康づくりのための身体活動指針です。毎日を活動的に過ごすために、体を動かすことを意識して健康寿命を伸ばしましょう。

認知症を疑ったら

本人またはご家族が認知症の疑いを持ったら、認知症の進展予防には早期ほど効果があるため、すぐに「もの忘れ外来」の受診をお勧めします。受診内容は、問診から医師の診察、認知症とほかの病気との区別をつけるために、血液検査やレントゲン検査などを必要とすることもあります。

認知症と誤認されやすい病気にうつ病があります。うつ病は、
①きっかけがある(定年退職や身体の不安による将来への不安など)、
②最近の記憶と昔の記憶に差がない、
③一日の体調に変動がある、
といった点で認知症と異なります。

認知症の方への接し方

握手やハグなどのスキンシップは、ぜひ実践を。話し掛けは正面から目を見て、口を大きく、ゆっくり話すことを心掛けます。逆にやってはいけないことは、叱る・怒鳴る・命令口調・急がせる・何もさせないことです。周辺症状への対処法では、幻覚を否定しない。妄想にムキになって反論せず話題を変えてみる。暴言や暴力には「ごめんなさい」の一言。昼夜逆転している場合には、日中の活動量を増やし、日光を浴びて体内時計を修正する工夫が必要です。

認知症と運転

昨年3月に施行の改正道路交通法では、認知症高齢者対策が強化されました。内閣府によると2016年末の75歳以上の運転免許保有者数は約513万人。同年の交通事故死者数は3904人で、その内の54・8%が歩行中の高齢者です。75歳以上の運転者による死亡事故は459件あったものの、高齢者が被害者となる確率がより高いのです。身体能力の低下を感じたら運転免許証の返納を考えている人は増えています。しかし、高齢者から権利を奪う行為は認知症の人と共に生きる社会をつくる国策に逆行していると言わざるを得ません。今後の対策が待たれます。