vol.7

特集企画

ご入居の皆様と共に作る、求められる理想の「我が家」

「オリーブ便り」読者アンケートで、「ウエリスオリーブ」の特色を問う声を多数いただきました。 「ウエリスオリーブ」の誕生から現在に至るまでの紆余曲折をご紹介します。

船出

高齢者向け賃貸住宅の開発は、NTT都市開発として新規事業でした。

「高齢者専用賃貸住宅」の登録制度が施行されたことを受け、新たな事業展開の一つとして立ち上げました。制度ができた当初、「高齢者専用賃貸住宅」の知名度は低く、シニア層を対象にしたセミナーを数多く開催しました。物件紹介のために訪れた地場の不動産会社でも、シニア世代になってから賃貸なんてありえないと驚かれましたね。今改めて考えると、物件のためというよりも、制度の認知と普及のために費やした労力の方が大きかったように思います。

2010年6月、満を持して「ウエリスオリーブ」シリーズの第1棟目が開業しました。

積極的に老人ホームの紹介会社や病院などを訪問して得られた情報をもとに、検討を重ねて誕生したのが「ウエリスオリーブ新小岩」(東京都葛飾区)です。我々が選んだのは、ご入居される方がゆったりと過ごせる、入居時点で要介護1以下のお元気な方を対象とした、ホテルのような高齢者専用賃貸住宅でした。

ホテルのような高齢者向け住宅として誕生した「ウエリスオリーブ新小岩」には、リゾートのようなヒノキの共同浴場があります。

ご入居者様の負担を抑えるため、開業時は、夜間は無人(機械警備のみ)、夕食のみ提供という体制でスタートしました。入居を開始した6月、すぐにお住まいになられたのは、90代の女性お一人でした。一人暮らしが不安で住み替えたのに、夜間は広い建物内に他には誰もおらず、これでは元の戸建てと変わらないと思われても仕方のない状況でした。夜間、広い建物内に女性お一人では、さぞ不安でしょう。二人目のご入居者様が移られるまでの約1カ月半、せめて社員一人でもご一緒するべきではないかとなりました。

会社として、そのような対応を認められるものでしょうか?

空室はたくさんありましたから、寝る場所には困りませんでした。上司に相談するとあっさりと同意してくれた上に、メンバーにも加わってくれることになり、私も含め6人ほどが輪番で泊まり込みを始めました。当番の社員は、終業時刻になると真っすぐ「ウエリスオリーブ新小岩」へ向かい、18時の夕食をご入居者様とご一緒しました。お酒を召し上がる方で、囲む食卓も楽しく、色々なお話をしました。当時も今も、こんなことをしている事業者はないでしょうね。

転換

それ以降は、スムーズな運営となったのでしょうか?

本格的に入居が始まると、ご入居者様から様々な意見を伺えるようになりました。新規事業の継続には、リスクを最小限に抑える必要がありました。そのため、3年の定期借家契約、保証人・身元引受人必須という契約条件となっており、必ずしもご入居者様にとっては、ベストな内容とはいえないものでした。改善を要する課題が上がれば、社内だけではなく、外部の福祉機関や先行していた介護関連事業者にも相談し、解決策を模索しました。

その中でも真っ先に解決すべき課題は、3年の定期借家契約でした。契約更新時に要介護度が1以下ではなく、2以上になっていたら更新できないのではないか、という将来的な不安を抱かせてしまう原因になっていたからです。運営開始後すぐに改善すべく、開業から4カ月後には終身建物賃貸借事業認可を取得。これにより、ご入居者様が生涯にわたり安心して住み続けられる契約条件に改定することができました。このときばかりではなく、契約条件の変更や制度の追加を行う際には、必ず、ご入居者様とご家族に説明をし、また意見を伺い、そして同意を得てから実施へ進めています。

毎朝、玄関口まで訪問しゴミ回収。ご入居者様へお声掛けします。買い物代行などの生活支援サービスも行っています。

ご入居者様のために、ほかにはどのような変更・改善を?

定期的な面談により、ご入居者様には三者三様の不安をお持ちであることが見えてきました。夜間に管理者が不在となる不安や、お元気な方であっても、将来介護が必要になったときの不安などです。食事についての要望もありました。「ウエリスオリーブ新小岩」をサービス付き高齢者向け住宅へ登録変更する際、同時に様々な改善を行いました。夜間無人を24時間有人管理に、食事も朝・昼・夕の3食提供を開始しました。続いて、運営をベネッセスタイルケアに変更し、念願の訪問介護事業所を併設するに至りました。優雅に暮らすホテルではなく、必要なときに必要なだけのサービスを受けられる、安心して暮らせる住まいへの転換を運営スタッフと共に図ったのです。

終の住処

求められる住まいには、どのような条件が必要なのでしょう?

サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造で一定の面積と設備を有し、見守りサービスのある賃貸住宅と定義されています。とはいえそうした基本条件が、ただそろえばいいというわけではありません。

「ウエリスオリーブ新小岩」では、お元気な方を対象とした賃貸住宅でありながら、これまで3人の方を看取っています。通常、急激に具合が悪化した場合、病院への入院を選択される方が多いです。ご家族も病院の方が安心なのでしょう。しかし、開業から4、5年が経過した頃でしたか、ご入居者様から「病院ではなく、オリーブに帰りたい」との希望の声が上がったのです。

ご入居者様にとっては、ご入居時から見守り続け、要介護度が上がればなおさら接点が増えたスタッフが、すでに家族のような存在になっていたのかもしれません。ご家族と同じように、趣味や口癖、普段から気に掛けていること、交流関係、体調の波など、日々接するスタッフが理解できていることは多岐にわたります。「オリーブに帰りたい」の言葉は、お客様の要望を実現するべく、挑戦し続けてくれたスタッフのたゆまぬ努力が実を結んだ証であり、ウエリスオリーブがめざすべき理想の姿が見えてきた瞬間でもありました。

新たなステージ

第1棟目から次の開業まで、6年という年月を要しました。

新小岩でご入居の皆様の声を聞き、改善を重ねてきた経験を踏まえ、続く「ウエリスオリーブ津田沼」では、表面化していなかった課題にも重点的に取り組みました。特に、ご入居者様が重介護の状態になった時にどうサポートするのか、という課題です。向き合うために取った方策は、介護事業所を最初から併設することはもちろん、自立の方から要介護5の方までを受け入れられる居室タイプとサービスを整えること。自立した生活を送られる方のための居室、介護サービスを必要とされる方のための居室、2タイプを同じ建物内にご用意することで、将来的な不安を軽減できるのではないかと考えたのです。身体状態の変化に合わせ、居室タイプ間の移り住みが可能ならば、住環境を大きく変えることなく、速やかに必要なサービスを、しかも身近な存在であるスタッフが提供できることになります。

日常的に介護サービスが必要な方が居室に閉じこもりがちにならないように、同じフロアに共用空間として食堂・ラウンジを設えています。ゆったりとお過ごしになられる姿を想像し、フロアでも一番条件の良い場所に計画しています。ご入居者様のリビングルームであると同時にコミュニティの場でもあり、ゲストをもてなす応接空間としてもご利用いただけます。

介護が必要な方の居室フロアに設けた食堂・ラウンジ。リビングルームとしてご利用になれます。(写真はウエリスオリーブ武蔵野関町)

新たな物件の開設にあたり、立地も大切であると検討を重ねました。アクセスしやすい立地であれば、ご入居者様の行動範囲は広がりやすく、ご家族にも便利。またスタッフにとっても勤務しやすい環境であることで、精神的なゆとりが生まれ、より質の高いサービスの提供につながると考えました。

介護サービスの充実を図ったと。

有料老人ホームと同等の手厚い介護サービスを提供できる施設(特定施設入居者生活介護)の取得もめざしました。地域によって行政側の事情は異なり、第2棟目は認定を受けられませんでしたが、介護サービスの充実は諦めたくない。ご入居者様にとって必要ならば、新しいサービスのしくみをつくればいいのではないか。そう考えられたのは、NTTグループに介護を提供できるテルウェル東日本が存在したからです。併設の介護事業所が、生活に関わる介助や代行サービスなどを介護保険外で提供する「オリーブサポートサービス」は正に独自のサービスです。介護居室のご入居者様には、このサービスを利用回数に制限なく月々定額でご利用いただける「プラチナパック」をご用意しました。そして、賃料のお支払いについても通常の月払いプランに加え、月々の費用を抑える前払いプランを導入。経済的な不安を軽くすることで、ご入居者様とご家族が将来にわたり安心して過ごせるサービス体系を構築しました。

さらに医療サービスにも目を向け、365日・日中帯は看護師が常勤し、提携医療機関と連携して24時間緊急対応可能な体制も実現させました。

時をつなぐ我が家へ

「ウエリスオリーブ」は、もっと進化していくのでしょうか?

最終的な目標は、ご入居者様にとって終の住処となる「我が家」を提供すること。そのためには、時をつなぐことが重要だと考えています。例えば、日々接するスタッフは、お一人おひとりをよく理解しています。身体の状態が変わったとき、お元気な頃の様子を知っているからこそ、業務的な介護サービスではなく、心から寄り添ったサービス提供が可能となります。それが「時をつなぐ」ことだといえるのでしょう。そして、ご家族以上に多くの時間を共にすることで得た、様々な気付きをご家族に伝えることもできます。ご入居者様とご家族の間にある時をつなぐこともできるのです。

ここでの暮らしをより豊かなものにするため、地域社会に開かれた交流を生み出すことにも積極的に取り組んでいます。サービス付き高齢者向け住宅と分譲マンションを一体開発する「つなぐTOWNプロジェクト」です。日々の交流を通じて地域や多世代とのつながりを持つことで、ご入居者様が充足感を得られる住環境づくりをめざしています。

時をつなぎ、人をつないで「我が家」になると。

つなぐことで、将来を見据えた住まい方の選択肢が増えます。しかし、皆様が同じ「我が家」像をお持ちなわけではありません。ご家族との距離感、性格、人生観は人それぞれです。スタッフの接し方も、当然、ご入居者様ごとに変わってきます。それぞれの方にとって、心地よい距離感を理解したサービスの提供をめざしているからです。ご入居者様にとっての「我が家」となり得るよう、事業者の我々はもちろん、運営スタッフも努力はいといません。ご入居者様がどのような方なのかを理解するため、お一人おひとりとの面談を大事にしてきました。ご意見を真摯に受け止め、改善を重ね、たどり着いた答えの一つが今のウエリスオリーブです。まだ通過地点です。これからも全身を耳にして、皆様と共に、皆様にとっての理想的な「我が家」づくりに邁進してまいります。


ウエリスオリーブは第1棟目の新小岩の開業から、ご入居者さまとご家族の声に耳を傾けて進化を続けています。

ご入居の皆様と共に築いたウエリスオリーブ11の特徴

  1. ご自身の状態に合わせたウエリスオリーブ内での住み替え可能
  2. 自立の方から要介護5の方まで対応
  3. 入居一時金不要、更新不要の終身建物賃貸借契約
  4. 365日、日中帯看護師が常勤。医療連携による24時間緊急対応
  5. 安心して暮らせる24時間有人管理体制
  6. 各種生活支援サービスで日常生活をきめ細かくサポート
  7. ご家族の一員であるペットと一緒にご入居が可能
  8. 大切にしているのは 人と人とがつながるコミュニティづくり
  9. 館内のレストランで提供するお食事サービス
  10. 介護事業所を館内に併設
  11. 住まいを手掛けるNTT都市開発だから実現できる上質な住空間

終の住処として安心して永く 暮らせるよう、スイートルームとプラチナルーム(またはケアレジデンス) を併設しました。※1

スイートルーム 暮らしに必要な住宅設備がそろった、
ゆとりの快適居室
プラチナルーム
(またはケアレジデンス)
手厚い生活・介護サポートが魅力の
安心・快適な居室

ご自宅からの住み替え先として、退院後の療養型住宅として、介護・医療の両面で安心の体制を整えています。

※1. プラチナルームのみ、スイートルームのみの物件もございます。詳しくはお問い合わせください。 ※2. 入室状況によりお待ちいただく場合がございます。 ※3. ケアレジデンスは特定施設入居者生活介護の認定を受けた居室です。 ※4. 提携医療機関とご契約された方のみ対象となります。 (訪問診療、訪問看護費は別途となります。) ※5. 原則スイートルーム・プラチナルームにご入居の場合にご利用いただけます。