救った命を安心して過ごせる場所へ戻す
東京東部サンライズクリニックは、東京東部7区に、千代田、中央といった23区の中心も訪問・往診エリアとする訪問診療を行うクリニックです。院長の花上和生医師は、当クリニックを開設するまでは麻酔科医として救急医療の現場に従事してきました。その手に救われた命は数知れません。しかし、「助けた患者さんの多くは病院から先の行き場所がなく、医療難民化していた」と花上医師は言います。行き場所がないというのは、患者さんの状態によってはご家族が対応に不安で引き受けられない、または独居で身の回りの世話をしてくれる方がいないので帰宅できないということです。
「安心して過ごせる場所へ患者さんを帰してあげて、やっと命を救ったことになります。在宅医療がもっと充実すれば、ご家族も安心して迎え入れられます。救急医療や麻酔科で培った技術や知識を活かして、社会へお返しをしたいと当クリニックを開きました」
この在宅医療は、まだまだ一般的ではなく、知られていないことがたくさんあるようです。
大きな医療機関とも連携気軽に相談できる医師
「在宅医療へ切り替えると、これまで通院していた医療機関と関係が切れるのではと思われる方は多いのですが、それは誤解です。当クリニックでは、提携医療機関から依頼された患者さんにも退院前にごあいさつに伺い、同時に病院から在宅医療への移行がスムーズになるように医師や病院スタッフとの連携をスタートさせます。先に顔を合わせること、そして、医療機関との関係が続くとご説明することで、ご家族も安心されます」
24時間オンコール体制で、何かあれば電話で問い合わせできるのもありがたいことです。病院に電話したとして、医師と直接話せるでしょうか。
「例えば、新しい症状が出た、怪我をしてしまったというとき、私に相談してもらえれば処置が可能ですし、在宅医療では対応困難な検査や治療が必要であれば適切な医療機関をご紹介できます。患者さん、ご家族が不安に苛まれる時間を短縮し、労力も省けるのです」
これも広く知られていないことかもしれません。在宅医療の受療は、通院困難が要件となります。
「ご家族の同伴があるから通院できている患者さんは多いです。簡単に仕事を休めないご家族も多いはずです。在宅医療はそうしたご家族の支援のためにも、選択肢として見直されるべきでしょう」
あふれるバイタリティー全ての経験を血肉に
「医学生の頃、海外ボランティアのサークルを立ち上げ、顧問教諭とインドネシアのニューギニア島の無医療地帯で、長いときでは1カ月以上滞在して無料診療を行いました。必要物資は企業協賛や寄付、募金などで調達し、文部科学省の科研費も得て活動しました。同時期に、AMDA(アジア医師連絡協議会)からの派遣でコソボ難民・帰還難民のキャンプへも」
得がたい経験は、困難や問題解決能力を高め、患者さんの命を支える底力となっています。